櫻井よしこ 美しき勁き国へ

中国 微笑外交の陰に牙

尖閣諸島周辺の領海で日本漁船を追尾した中国海警局の船=5月10日(金城和司さん提供)
尖閣諸島周辺の領海で日本漁船を追尾した中国海警局の船=5月10日(金城和司さん提供)

 5月8日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺のわが国領海で操業中の同県与那国町漁協所属の漁船「瑞宝丸」を中国公船「海警」2隻が執拗に追い回した。海上保安庁の巡視船が双方の間に割り込み瑞宝丸を守った。

 中国公船が領海内で漁船を追尾したのは初めてで、事は重大だ。尖閣諸島を所管する石垣市の中山義隆市長はこれを中国の宣戦布告だと見る。

 追尾を受けて同日、外務省アジア大洋州局長は駐日中国大使館公使に電話で抗議。北京の日本大使館も中国外務省に同様の措置をとった。

 電話抗議で済む案件なのか。1992(平成4)年に彼らは領海法を定め国内法で尖閣諸島を中国領に編入した。日本の領土を奪うと、中国が明確に宣言した当時も、わが国外務省は口頭での抗議にとどめた。中国は高笑いしたことだろう。