シャープは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月24日からマスクの生産を始めた。中国からの輸入減や転売目的の買い占めなどでマスクが手に入りにくい状況が続くことから、政府の緊急要請に応じ自社の液晶パネル工場を活用する。事業としての採算性も見えないなか、電気大手のシャープが畑違いのマスク生産に参入する理由とは-。(山本考志)
1日50万枚生産目指す
シャープがマスクの生産を始めたのが三重工場(三重県多気町)だ。この工場では、カーナビなどの車載用やスマートフォンやウエアラブル端末などに使われる中小型サイズの液晶パネルを生産している。
液晶の生産設備のうち、衛生用品であるマスクの生産に最適なのがクリーンルーム。液晶製造の大敵であるちりやほこりなどを排除するためのこのルームの清浄度は、担当者によると「甲子園球場くらいの広さにちりが2、3個しか存在しないレベル」という。