新興国の通貨危機懸念、各国は政策協調を
新型コロナウイルス危機では、グローバル化の波に乗り成長を遂げた新興国への影響が不安視されている。アジア開発銀行(ADB、本部フィリピン・マニラ)総裁の浅川雅嗣氏は、グローバル化後退への懸念を否定しつつも、新興国が通貨危機に陥る事態に警戒を強めている。
◆回復過程見通せず
--新興国経済への不安が広がっている。新興市場からの資金流出はすでに2008年のリーマン・ショック当時の3倍以上だ
「特に観光による収入が大きい国や市場の開放度が高い国は新型コロナの負の影響を被っている。ADBが6月18日に発表した今年の国内総生産(GDP)の成長率見通しではフィジー(マイナス15・0%)やタイ(同6・5%)が低い数字となった」
「資金流出は、資金が米ドルなどの(比較的安全とされる)投資先に逃避する動きであり、注意せねばならない。コロナ危機は(1997年に起きた)アジア通貨危機やリーマン・ショックと違って公衆衛生上の危機だ。だが資金流出で新興国が通貨安となれば、株式などの金融資産の価格が下落し、その国の対外債務の返済コストが急増する金融危機、債務危機に発展する可能性がある」