最大の懸念は中国、「防衛白書」に鮮明 影響力拡大を注視

防衛白書を手に記者会見する河野防衛相=14日午前、防衛省
防衛白書を手に記者会見する河野防衛相=14日午前、防衛省

 令和2年版の防衛白書は、中国を安全保障上の最大の「強い懸念」と位置付ける現状認識を鮮明にした。特に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での活動に対する警戒と批判の表現を強めた。新型コロナウイルスの感染拡大を機に影響力拡大を図る中国の行動を注視する姿勢も強調した。(田中一世)

「執拗な行動、詳細に」

 河野太郎防衛相は14日の記者会見で白書について「尖閣諸島周辺の現状変更につながりかねない中国の執拗(しつよう)な行動について詳細に書いた」と説明した。中国海警局の公船は、91日連続(7月13日時点)で尖閣諸島周辺の接続水域を航行し、最長の連続日数を更新している。白書では「事態をエスカレートさせる中国の行動は全く容認できない」と批難した。

 中国海警局は日本の海上保安庁に相当するが、実際は軍と連動している。白書では、海警局が中央軍事委員会の傘下に入り、海軍出身者が主要ポストに就くなど「軍・海警の連携強化は組織・人事面からもうかがわれる」と分析した。