宮家邦彦のWorld Watch

バルカン情勢は複雑怪奇

今年9月、来日したコソボのサチ大統領と会見される天皇陛下 =皇居・宮殿「竹の間」
今年9月、来日したコソボのサチ大統領と会見される天皇陛下 =皇居・宮殿「竹の間」

 今年最後となる今回は、バルカン半島を取り上げる。実は先週、駆け足で「プリシュティナ」と「スコピエ」を回ってきた。これが、コソボと北マケドニアの首都だと分かる人はかなりの国際通だ。両国が旧ユーゴスラビアを構成した共和国と知る人も少ない。恥ずかしながら、筆者も詳しくなかった。百聞は一見に如(し)かず、今回は南欧情勢について書こう。

 ◆「先の大戦」とは

 京都で「先の大戦」といえば応仁の乱だが、コソボで「前の戦争」は1998年のコソボ紛争だ。バルカン半島中部のコソボ共和国は人口約180万人、面積約1万1千平方キロで、ほぼ岐阜県と同じサイズ。独立を宣言したコソボを、隣の地域大国セルビアは今も自国の自治州だと主張し、国家承認していない。