櫻井よしこ 美しき勁き国へ

規制押し付ける正当性は 八方塞がりのエネ政策

東京電力福島第1原発の4号機原子炉建屋前。4号機は1~4号機の中で使用済み核燃料プールからの燃料搬出が唯一終了している=12月4日(代表撮影)
東京電力福島第1原発の4号機原子炉建屋前。4号機は1~4号機の中で使用済み核燃料プールからの燃料搬出が唯一終了している=12月4日(代表撮影)

 日本のエネルギー政策が八方塞がりになりつつある。

 昨年12月、スペイン・マドリードでの国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)は、気温上昇の上限を産業革命前から今世紀末までで1・5度以下、二酸化炭素(CO2)排出ゼロの2050年達成を事実上の目標にするまで先鋭化した。欧州諸国の運動と中国の戦略的な後押しで脱炭素が世界の主流となりつつある。

 その中で、日本の国民生活と産業基盤を支える廉価で安定した電力供給を実現するには再生可能エネルギー技術の向上と原子力発電の活用しかない。だが、日本の原子力発電を担う原子力規制委員会(規制委)と電力業界の姿からは未来展望は見えてこない。「特定重大事故等対処施設」(特重施設)から見える彼らの姿は使命感を放棄し、闘うことを忘れた身勝手な組織のそれである。