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あらゆる災難は人災である 黒田勝弘

SARSコロナウイルスの電子顕微鏡写真(米疾病対策センター提供)
SARSコロナウイルスの電子顕微鏡写真(米疾病対策センター提供)

 韓国は今のところ新型コロナウイルスの封じ込めに成功している。ビジネスや観光旅行、出稼ぎ中国人(朝鮮族)、留学生など中国との往来、接触が日本よりはるかに多い韓国だから、よくやっているといっていい。先年、多数の死者を出した中東呼吸器症候群(MERS)のときの教訓もあって、今回は当初から官民挙げて大々的に取り組んでいるからかもしれない。

 その挙国ぶりを紹介すれば、まずテレビや新聞などマスコミは連日、報道の半分以上を費やして警戒を訴え、テレビは毎時、予防策を呼びかけ、電車やバスの車内案内は「予防行動守則」を繰り返している。

 「予防行動守則」というのは(1)マスク着用(2)手洗い(3)せきは袖を口にあてて-の3点。地下鉄やバスのほか街頭の横断幕、マンションのエレベーターなどあらゆるところにこれが掲示してある。地下鉄では乗客の8、9割がマスクをしていて、マスク嫌いの筆者への視線は「非国民!」といわれているように冷たい。