明治維新を支えた男 白石正一郎日記に見る幕末

第3部 新時代(5)歌と学問で貫かれた 編集委員・宮本雅史

白石正一郎の歌集「松のおち葉」。明治天皇に献上した帰雁の歌には〇印がつけられていた(山口県の下関市立歴史博物館蔵)
白石正一郎の歌集「松のおち葉」。明治天皇に献上した帰雁の歌には〇印がつけられていた(山口県の下関市立歴史博物館蔵)

 尊攘志士を心身、金銭的に援助した長門国(ながとのくに)(山口県)の荷受問屋「小倉屋」の当主、白石正一郎(しらいし・しょういちろう)は商人の枠を超えた魅力を持っていた。

 西郷隆盛は安政4(1857)年11月、初めて正一郎と会った時の印象を、薩摩藩の市来正之丞(いちき・しょうのじょう)に手紙で伝えた。

 手紙の中で西郷は、正一郎について「全躰温和の質」「和学を好」「至て清直」「談話も面白く」「風儀雅品」など最大級のほめ言葉を連ねている。

 さらに、お由良騒動で薩摩藩を脱藩した工藤左門ら「四天王」と同じように、「精忠(せいちゅう)を感、叮嚀(ていねい)の者と相見得申候」とある。忠義があり、礼儀正しいという意味だ。初対面でこの賛辞である。西郷がいかに正一郎を評価し、信頼を寄せていたかが分かる。

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