新しい憲法の話(1)

不作為の戦後日本からの脱却を 評論家 西尾幹二氏

評論家の西尾幹二氏
評論家の西尾幹二氏

 平成29年5月3日、安倍晋三首相は憲法改正に関する新しい提案を行った。9条1・2項を維持したまま、自衛隊の根拠規定を追加するという加憲のアイデアであった。9条2項が残存するため矛盾した内容になっている。後世に憂いを残す案で、軍事的に何もできない自衛隊を永遠化するという、ある種の絶望的断念宣言に見えた。

 腰の引けた、何か目に見えないものにおびえた、すべてに遠慮しているような首相のこの姿勢は、われわれの生き方を背後から縛っている心理的ムードを形成する戦後日本そのものといっていい。

 首相提案では、もう一つの項目として緊急事態条項があった。用心深い注意項目としてこれが加えられたことは、私も大賛成である。しかし、遺憾なことに、その際、真っ先に想定例として挙げられていたのは自然災害であって、外国による日本の国土への侵略が第一に掲げられていなかったのである。

 緊急事態とは自然災害だけであろうか。私は、明日にもおこるかもしれぬ国土の一部への外国からの「侵略」をどう考えるかがまず真っ先に意識されなくてはならないと考える。改正される憲法に記載されるべきは、このような場合における「反攻」の用意である。

有料会員向け記事こちらは有料会員記事です (会員サービスについて)

産経ニュース会員(無料)に登録している方は、ログイン後に有料会員登録を行ってください