新しい憲法の話(2)

「自衛隊明記」は現実的な第一歩 憲法学者 百地章氏

憲法学者の百地章氏
憲法学者の百地章氏

 明治憲法以来、憲法は不磨の大典で簡単に変えてはならないという意識が国民の中にずっとあった。日本国憲法は連合国軍総司令部(GHQ)から押し付けられたもので、自分たちの憲法だという自覚が薄い。憲法を身近な問題として考えず、改正に無関心な国民が圧倒的多数を占めてきた。

 他方で、マスメディアや憲法学者が改憲は非常に危険で戦前に逆行するなどといったデマを流し続けてきた。それによって国民も誤解し、洗脳されてきた。

 本気で日本国憲法は世界で最高の憲法であると信じ切っている憲法学者は今でも少なくない。「なぜ、こんな素晴らしい憲法を変えるのか」と。現実を何も見ていないという証拠だ。

 そもそも日本国憲法は改正手続きが世界で最も厳しいといえる。国会議員3分の2以上の発議に加え、さらに国民投票で過半数の賛成が必要となっている。例えばドイツ憲法は議会両院の3分の2の賛成だけで改正できる。「3分の2」という拘束をかけて、さらに国民投票まで課すという国は、一院制の韓国を除けば他にないといってよい。

 改正手続きを二重に課しているということはGHQの意図そのものだ。日本国憲法自体が日本を弱体化するために作られたもので、それを簡単には改正できないようにした。