新しい憲法の話(4)

歴史的意識欠如の欠陥と制定時のまやかし 政治学者 岩田温氏

政治学者の岩田温氏
政治学者の岩田温氏

 憲法を論じる上で最も大切な視点は、国家を全体主義に陥らせないということだ。その意味で、近代立憲主義、つまり法を超えた権力は認めないという思想は重要だ。権力が暴走し、国民が不幸になってはならない。国民が持つ基本的な諸権利を守るため、立憲主義は決してないがしろにしてはいけない。

 立憲主義は大日本国帝国憲法(旧憲法)が制定された明治以後、わが国にしっかりと根付いていた。それは、全体主義国家とさえ評された先の大戦下でも旧憲法が機能し、徴兵や徴用なども法に基づき執行されていたことから明らかだ。また、旧憲法に先立って制定されたオスマン帝国憲法がわずか2年で停止されたことと比べても好対照だ。

 とはいえ、立憲主義だけでは不十分だ。確かに権利の制限はしない方がいい。それでも「危機に陥った時には私権の制限に踏み切る」という、いわゆる緊急事態条項がなければ政治は機能しない。それは、日本国憲法下のわが国が、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための社会活動抑制を強制できず、混乱を招いたことで証明された。

 立憲主義と緊急事態条項はいわば車の両輪で、いずれも必要だ。「憲法守って国滅ぶ」とならないよう、早急に緊急事態条項を書き加えなければならない。

1条こそ危うい

 ただ、このような議論は、憲法についてほんの一部分しかとらえていない。それは国家について考えてみるとよく分かる。

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