言葉のひと解き

GPSの装着義務化 お天道様はお見通しだぞ 清湖口敏

コロナ禍では感染拡大防止の観点から、主要駅などでの人出の動向に注目が集まっている=東京都渋谷区
コロナ禍では感染拡大防止の観点から、主要駅などでの人出の動向に注目が集まっている=東京都渋谷区

 政府は先頃、仮釈放中や執行猶予中の性犯罪者を対象に衛星利用測位システム(GPS)端末の装着義務化を検討する方針を関係府省会議で決定した。

 この手の話題になると決まって、人権侵害だの監視社会につながるだのといった声が一部メディアにわき起こる。はたして今回も、「有罪確定者に新たな罰を科すことになりかねない」(京都新聞)「更生を目指す人への人権侵害になってはならない」(信濃毎日新聞)-などとして監視に頼る手法を危険視する社説が散見したのである。

監視の効用

 一方、産経は6月14日付の社説(主張)で「悲惨な事件はもうたくさんだ。少しでも効果が望めるなら導入を躊躇(ちゅうちょ)すべきでない。真に守られるべきは未来の被害者の人権である」と断じて政府に着実な実施を促した。なかでも目を引いたのが「監視されることで対象者が自分の意思で行動を制御する効果も報告されている」とのくだりである。

 一読して「パノプティコン」を想起した読者もおられたことだろう。パノプティコンとはもともと、英国の哲学者、ベンサムが考案した刑務所の監視システムで、フランスの哲学者、フーコーがその著『監獄の誕生』で紹介したことから有名になった。「一望監視装置」とも呼ばれている。

 施設の中央に監視塔を設け、塔を取り囲むようにドーナツ状に多数の独房を配置する。独房の窓はどれも塔に向けられ、塔の監視所にいる看守がそれぞれの窓を通して全ての囚人の様子を一望に収められる仕組みになっている。だが独房からは看守の動向が一切見えないため、受刑囚は看守が実際に監視しているかどうかが定かでないにもかかわらず、常に「見られているかもしれない」と意識し、「悪い行為はできない」と自発的に己を律することになるのだという。

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