耳目の門

(23)石井聡 続・日本外交 断ち切れぬ媚中の流れ

 31年前の9月、進入灯の照度もおぼつかない深夜の北京空港に「無事に降りられるだろうか」と息を殺しながら着陸した。遼寧省・瀋陽(旧奉天)からの臨時便には、日本の超党派訪中団が搭乗していた。団長は中国の信頼が厚い伊東正義自民党総務会長で、メンバーは日中友好議員連盟から選ばれた。

 ◆客人を呼びつけ

 なぜこうなったかといえば、一行が北京入りした1989(平成元)年9月17日、李鵬首相が地方視察中のため「会いたければ現地に」という先方の都合に付き合わされ、その日のうちに北京-瀋陽を1往復したのだ。賓客に対して何たる無礼。中国を初めて訪れた記者が抱いた印象だ。