湯浅博の世界読解

「回帰不能点」に達した米国

 今、米国の対中戦略で語られているもの。

 英語表現だと「Point of no return」。例えば離陸した戦闘機が、出発点に戻るだけの燃料が尽きてしまう地点を「帰還不能点」という。映画「オペラ座の怪人」では、「もう引き返すことはできない。これが最後の一線」という切ない歌の題名が「ザ・ポイント・オブ・ノー・リターン(回帰不能点)」であった。

 それは捨て身の覚悟、不退転であり、狂気の域に達したことを表現することもある。米国の戦略家たちは今、米中新冷戦が先鋭化して、もはや後に引けなくなる状況をこの言葉で表現している。