ソロモンの頭巾

長辻象平 正しく怖がる地層処分 寺田寅彦と「核のごみ」始末

「ガラス固化体」の実物大模型。内部の黒いガラスの固化体が見えるように、ケース上部のステンレス板を切り取った形にしている (長辻象平撮影)
「ガラス固化体」の実物大模型。内部の黒いガラスの固化体が見えるように、ケース上部のステンレス板を切り取った形にしている (長辻象平撮影)

 正しく怖がることの難しさ-は、明治生まれの物理学者、寺田寅彦(1878~1935年)が残してくれた箴言(しんげん)だ。原子力発電で生じる「高レベル放射性廃棄物(HLW)」の最終処分問題を前にして、その炯眼(けいがん)に感服してしまう。

 国と原子力発電環境整備機構(NUMO)が最終処分地選定に向けた文献調査の公募を始めたのは、平成14年のことだった。今年10月の北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村での受け入れまでに18年歳月が流れている。

根強い誤解の山

 この空白期間は、主に人々がHLWに抱く恐怖心のせいだろう。