宮家邦彦のWorld Watch

敗北宣言なき米大統領選

米大統領選の開票が進む中、マスコミの前に姿を見せたトランプ氏。最後まで敗北宣言はなかった =11月5日、ホワイトハウス(AP)
米大統領選の開票が進む中、マスコミの前に姿を見せたトランプ氏。最後まで敗北宣言はなかった =11月5日、ホワイトハウス(AP)

 今回の大統領選挙はバイデン氏の勝利ではなく、トランプ氏の敗北だった、と8日のNHK「日曜討論」で述べた。4年前もトランプ氏の勝利ではなく、ヒラリー・クリントン氏の敗北である。筆者がこう考える理由を書こう。

 (1)有権者の怒り

 4年前からの流れを単純化すればこうだ。オバマ大統領時代、リーマン・ショックの経済的な犠牲者とされていた白人労働者層の怒りはトランプ氏への追い風にはなった。しかし、ヒラリー氏は五大湖周辺の工業地帯を軽視し郊外の女性の反感を買って敗北したのだ。同様に、トランプ時代のコロナ禍と人種差別の犠牲となった非白人層の怒りもバイデン氏への追い風にはなった。しかし、トランプ氏は自らの失政と郊外の女性票離れにより敗北したのだ。