石平のChina Watch

「真実を語れ」が意味すること

今年5月の人民政治協商会議に出席した習近平国家主席(左)と李克強首相=中国・北京(ロイター)
今年5月の人民政治協商会議に出席した習近平国家主席(左)と李克強首相=中国・北京(ロイター)

 先月20日、中国の李克強首相は一部の地方政府の責任者を招集して経済対策に関する座談会を開いた。中国政府の公式サイト「中国政府網」によると、李首相は座談会の中で地方政府の幹部らに「講真話(真実を語ること)」の大事さを語り、「あなたたちが真実を語るなら、われわれも正しい政策を立てることができる」と諭したという。

 一国の首相が地方の幹部に「講真話」をわざと求めるようなことは、要するに地方幹部が中央に対してあまり真実を語らない、ということであろう。地方で起きているさまざまな問題をできるだけ覆い隠して「良いこと」だけを上に報告するのが地方幹部の一貫とした習性だから、それに業を煮やした李首相が座談会でクギを刺したのである。

 しかし、大変奇妙なことに、新華社通信は座談会開催の2日後にようやくそれを取り上げて記事にしたが、どういうわけか「真実を語れ」という李首相の肝心な言葉が消えてしまっている。人民日報に至っては、実はこの原稿を書いている11月30日現在まで、李首相主催の座談会自体を一切報じていない。党中央宣伝部直轄下の人民日報が、党のナンバー2であり、国務院総理(首相)でもある李氏の発言を完全に黙殺するという驚きの異常事態が発生しているのである。