日本の論点

奈良 58年ぶりに復活した古都の祭り

 神輿(みこし)や山車(だし)を繰り出す各地の祭りが新型コロナウイルスの影響で軒並み中止になった今年、古都・奈良では58年ぶりに復活を遂げた祭りがあった。奈良公園(奈良市)の隣接地に鎮座する氷室神社の御渡(おわた)りである。コロナ禍にあって、祭りを継ぐためになせることは何か。筆者にとって、考える機会となった。

 氷室神社の例祭日にあたる10月1日早朝、帝(みかど)の輿を模したような荘厳な鳳輦(ほうれん)が掛け声なく境内を出立した。近くの興福寺南大門跡に設けた御旅所(おたびしょ)まで総勢約60人が練り歩き、奈良の発展、疫病退散を祈念する神事に加わった。交通事情で昭和37年に途絶えた御渡りの復活だった。