佐藤優の世界裏舞台

菅政権と検察 緊張の背景

吉川貴盛衆院議員=2018年12月、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)
吉川貴盛衆院議員=2018年12月、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

 菅政権と検察の関係が緊張している。菅義偉首相の権力基盤に深刻な打撃を与えかねない疑惑が発覚した。

 鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの元代表(87)が、吉川貴盛衆院議員(70)=自民=に対し、農林水産相在任中に現金数百万円を渡した疑いがあるとの報道が2日、一斉になされた。一部の報道は、元代表が2018年11月に200万円、19年3月に200万円、同年8月に100万円を渡したとしている。現金の流れの時期と金額の詳細は、事件を担当する東京地検特捜部の検察官と検察幹部しか知らないはずだ。検察官は一般職の公務員で、守秘義務(国家公務員法第100条)を負う。捜査情報の漏洩(ろうえい)は違法行為だ。違法な情報リークによって吉川氏を「犯人」扱いする報道があふれているが、これは無罪推定の原則に反する人権侵害だ。