歴史の転換点から

(9)『大日本』『世界政治の中の日本』-英国発もう一つの「坂の上の雲」が描く国民の歴史

韓国統監時代の伊藤博文。『大日本』の著者、ダイアーをはじめ、世界が認める政治家だった(『伊藤公全集』から)
韓国統監時代の伊藤博文。『大日本』の著者、ダイアーをはじめ、世界が認める政治家だった(『伊藤公全集』から)

 今回のテーマは「厄介な隣人」である。

 「朝鮮半島について少しでも知っている者ならばだれしも認めているのは、この国の政府は腐敗と老朽化をきわめた状態にあり、この国に希望というものを見出そうとするならば、まず改革が大前提となることである」

 わが国の「近代科学技術教育の父」と称される英国人、ヘンリー・ダイアーは1904(明治37)年に発表した主著の一つ『大日本』の第17章「外交」でそう述べている。当時、朝鮮半島は李氏朝鮮(1897年からの国号は「大韓帝国」)下にあった。

 「(幕末維新期に)日本が内政問題を成功裏に収拾することができたのは、進歩へと向かうエネルギーのほぼすべてが内部からわきあがってきたものであり、外部からのものではなかったからである。日本の当局者が朝鮮半島と向き合うさいには、この事実を念頭に置いてもらいたいものだ」