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釜山新空港計画…気になる“加徳島”の行方 黒田勝弘

1日、ソウル市内で開かれた「三・一独立運動」の記念式典で演説する韓国の文在寅大統領(聯合=共同)
1日、ソウル市内で開かれた「三・一独立運動」の記念式典で演説する韓国の文在寅大統領(聯合=共同)

 司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』にこんな一節がある。日露戦争における日本海海戦に先立つ風景だ。ロシアのバルチック艦隊を迎え撃つ東郷平八郎の連合艦隊旗艦「三笠」が韓国南部の巨済島(コジェド)沖に到着する。

 「左舷にみえる黄色っぽい山は、すでに朝鮮の巨済島の山であり、やがて三笠は島々のあいだを割りこむようにして加徳水道へ入りはじめた。加徳水道のあちこちにすでに先着している艦隊が錨(いかり)をおろしており…」

 そして出撃の日である。

「艦隊のどの将士も、艦からみえる鎮海湾の山々や、加徳水道の海の色、巨済島の硬質の地肌がつくり出しているこの碇泊(ていはく)地の風景に飽きていた」

 加徳水道というのは巨済島と、半島にくっついたような小さな加徳島(カドクト)との間の水路のことをいう。