耳目の門

(31)特別記者・石井聡 孤独担当相 個の内面に国はどう向き合う

孤独問題への取り組みを求める国民民主党の伊藤孝恵副代表
孤独問題への取り組みを求める国民民主党の伊藤孝恵副代表

 イギリスで欧州連合(EU)離脱の是非がまだ激しく問われていた2016年6月、労働党の女性下院議員が国民投票についての集会準備中に暴漢によって銃撃、殺害された。英国民は衝撃を受け、41歳だったジョー・コックス議員を悼んだ。この悲劇は、それまで実現は難しいと思われていた政策の推進に結びついた。

 コックス氏は生前、孤独の問題に取り組んでいた。遺志を継ごうと「ジョー・コックス孤独問題委員会」が超党派で設けられ、その報告書に基づき2018年1月、当時のメイ首相が孤独担当相を設置した。

党派超えた動き

 孤独は個人の内面にわたる事柄であり、そこに国家が立ち入るべきだろうかという戸惑いは、洋の東西を問わず存在する。それでも、孤独が個人を社会から孤立させる問題として拡大するなかで、議員の死はこれを政策として確立させる起点となった。そして、日本でも2月、孤独問題担当相が置かれた。きっかけは参院予算委員会の質疑でのあるハプニングだった。