
先週オンラインながら初のクアッド(日米豪印)首脳会合が開かれた。コロナワクチン、先端技術、気候変動に関する3つの作業部会設置と年内の対面首脳会合開催で合意した。産経新聞「主張」が「対中抑止へ積極的活用を」の見出しで今次会合を高く評価したのは当然としても、各国首脳にとって今次会合の意義はそれぞれ微妙に異なるようだ。
バイデン米大統領
今回は米国が主催国。新大統領が欧州、中東、アジアのどの地域を重視するかはワシントン外交筋の最大関心事だが、今回バイデン政権はインド太平洋地域を選んだ。米国のアジア関係者は歓喜し、国家安全保障会議担当部局の尽力を評価したが、実際には欧州、中東で「絵になる」アピールが難しいから-というのが実情だろう。対露外交でギクシャクする欧州、対イラン外交でイスラエルやサウジアラビアと溝が深まる中東では、「同盟国と連携し強い立場から外交を進める」新政権の姿勢を効果的にアピールできない。今はアジア太平洋が最も理にかなっているのだ。