ソロモンの頭巾

長辻象平 「気候危機」の素顔 あおられると日本は沈む

若い世代は温暖化説しか知らない。グレタ・トゥンベリさんもそうした一人=2019年9月23日、米ニューヨークの国連本部(ロイター)
若い世代は温暖化説しか知らない。グレタ・トゥンベリさんもそうした一人=2019年9月23日、米ニューヨークの国連本部(ロイター)

 地球温暖化防止策の「パリ協定」に米国が復帰したことで米欧を中心に「脱炭素社会」への動きが風雲急を告げている。

 昨年10月に「2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ」を宣言したばかりの日本は、手前の30年時点の削減目標の上積みを、4月の気候サミットなどで余儀なくされる雲行きだ。

 地球温暖化対策と経済活動は表裏一体。目標値の高さ比べで二酸化炭素(CO2)削減の国際交渉に臨めば日本社会の行く手に落日の運命が待っている。

温暖化論の背景

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が強調するように、世界の平均気温は上昇中。ただし、そのペースは100年間で0・7度ほどだ。

 IPCCは原因を大気中のCO2の増加と断定しているが、地球の気温は自然変動を続けている。1970年代には地球寒冷化が心配されていた。

 地球温暖化説は90年前後の冷戦終結と入れ替わるように出現した。最初の声は英国からだった。CO2の排出削減で、冷戦に勝利した米国の独走を押さえ込む意図が欧州連合(EU)に働いたとする分析もある。