台湾日本人物語 統治時代の真実

(28)「芝山巌事件」 生かされた遺志「音楽教育は必要」

犠牲となった6人の教師(左から2番目が中島、山本厚秀氏提供)
犠牲となった6人の教師(左から2番目が中島、山本厚秀氏提供)

 『六士(ろくし)(氏)先生』という唱歌がある。日本統治時代に台湾総督府が公学校(小学校)に通う台湾人児童向けにつくったオリジナル曲。大正4(1915)年「公学校唱歌集」4年生用に収録され、昭和9~10年に改訂された第2期の公学校唱歌集では5年用となった。当時の“台湾っ子”ならば知らぬ者がいなかった有名な唱歌である。

 主題は、統治開始(明治28年6月17日)から間もない、29年元旦に発生した「芝山巌(しざんがん)事件」だ。志(こころざし)を持って台湾へ赴任したばかりの日本人教師(学務部員)6人と用務員が、土匪(どひ)と呼ばれた土地の武装勢力によって惨殺された事件がモチーフになっている。