ソロモンの頭巾

長辻象平 「気候変動サミット」の真相

マイナス46%の脱炭素

 バイデン米大統領の呼び掛けで先週、世界の首脳がオンラインで集う「気候変動サミット」が開かれた。

 米国と対立する中国の習近平国家主席も参加したことで地球温暖化防止に関しては両国の協調への可能性は残ったが、前途は全く予断を許さない。

 化石燃料の多消費が原因とされる温暖化はエネルギー問題と表裏一体。二酸化炭素(CO2)に代表される温室効果ガス(GHG)の排出削減をめぐる国際交渉は経済競争力や安全保障に直結し、覇権争奪戦の側面を持つからだ。

 「受益国」は中国

 地球温暖化説の源流は、1980年代の末にある。米ソ両陣営間の冷戦終結の緊張緩和と入れ替わるタイミングで出現した。CO2の排出を減らして地球を救おうという声は、にわかに高まり、世界を席巻するトレンドとなった。