ゆうちょ銀、巨額貯金の運用に不安 ノウハウ乏しく 

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 ゆうちょ銀行の預入限度額に関する郵政民営化委員会(岩田一政委員長)の提言は調整が大幅に遅れ、当初、岩田氏が表明していた「(限度額の)撤廃」から「倍増」に後退した。親会社の日本郵政は引き続き限度額の撤廃を求める考えだが、ゆうちょ銀は住宅ローンや法人向け融資ができないなど業務に制約が多い。大量に抱え込んだ貯金を国債や株式などでどう運用するのか、超低金利下でノウハウの乏しいゆうちょ銀の経営には不安もくすぶる。

 岩田氏は3月時点では、日本郵政の長門正貢社長の要望していた通常貯金の撤廃に前向きな考えを表明。今春にも撤廃の意見書を取りまとめるとみられていた。しかし、限度額撤廃で民間金融機関の預金がゆうちょ銀の貯金に流れる「資金シフト」を警戒した金融庁や銀行業界から「民営化の道筋が示されていない」と反対論が巻き起こり、調整は難航。一時は、数百万円の引き上げといった銀行業界に配慮した案も浮上するなど曲折をたどった。関係者から「総務省や金融庁などを気にしすぎだ」と岩田氏に対する不満も出た。