日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は産経新聞のインタビューで、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が日本経済に与える影響に強い警戒感を示した。(聞き手・経済本部長 船津寛)
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--足元の景気動向は
「昨年の世界経済は、秋以降、米中貿易摩擦が一時的かもしれないが収束に向けた動きが見られたほか、英国の欧州連合(EU)離脱も方向性がはっきりし、ITサイクルも好転し、少し良くなったと思っていた。だが、地政学的リスクや新型コロナウイルスも出てきて、依然として下方リスクは大きい。ただ、世界各国の経済政策にも支えられ、昨年より今年、今年より来年と成長率が高まっていく姿は変わらないのではないか。その中で日本経済は企業の設備投資が非常にしっかりしている。人手不足の中で省力化投資が非製造業も含めて大規模に行われている。雇用者所得も実質でプラスを続けているので、消費も底堅い。今年の成長率は比較的、順調な1%程度ということになるのではないか」
特集:日銀 金融政策