「『大手電力会社』対『新電力』という構図は古いものになる。これからは異業種が連携して、技術革新を起こしていくという新しい競争が始まるだろう」。長年、エネルギー政策の立案に携わった日下部聡・前資源エネルギー庁長官(現三菱電機常務執行役)はこう指摘し、その事例の一つとして、「スマートシティー」を挙げる。先端技術やインターネットでインフラを効率的に管理し、生活の質を高めようとする新しい都市のことだ。
折しも、年明けにトヨタ自動車が、電気自動車(EV)やロボットの活用を視野に入れた「コネクティッド・シティ」を静岡県裾野市に建設すると発表した。約70万平方メートルの範囲に新たな街をつくり、トヨタの社員らが実際に住む。着工は来年初頭の予定だ。そして、トヨタはスマートシティーでの協業を念頭に、札幌市などで実証実験を重ねてきたNTTとの資本提携に踏み切った。