日曜経済講座

国際秩序の地殻変動に警戒を 論説副委員長 長谷川秀行

20カ国・地域(G20)の首脳のテレビ会議に臨む安倍晋三首相。感染収束後を見据えた外交が問われる=3月26日(内閣広報室提供)
20カ国・地域(G20)の首脳のテレビ会議に臨む安倍晋三首相。感染収束後を見据えた外交が問われる=3月26日(内閣広報室提供)

 新型コロナウイルスの地球規模での感染が止まらない。歴史を振り返れば、海外との人の行き来が活発になり、感染症が蔓延(まんえん)した例には枚挙にいとまがない。天然痘は仏教伝来とともに大陸から古代日本に入ったとされ、遣唐使などで国際色が豊かだった奈良時代には平城京で大流行した。コロンブスの新大陸発見以降、さまざまな伝染病が旧大陸から持ち込まれ、アステカ人などが壊滅的被害を受けたのもよく知られた話だ。

 中国・武漢発の新型ウイルス感染が瞬く間に世界に拡散した現代も人、モノ、金が国境を越えて行き交うグローバル化時代のまっただ中にある。グローバル化は新興国を含む世界経済発展の原動力となったが、世界が直面しているのは、これを前提とする経済が突如、機能不全に陥った異常な現実である。