中国なしではマスクもできない…この脆弱なるグローバリズムの後に  柴山桂太・京都大准教授

中国上海市郊外のマスク生産工場=1月(共同)
中国上海市郊外のマスク生産工場=1月(共同)

 新型コロナウィルスの感染拡大は、主要国でピークを越え始めた。そのため厳しい都市封鎖を行っていた各国も、経済活動の再開に舵を切り始めている。日本でも、緊急事態宣言が段階的に解除されている。

 しかし、本当に大変なのはこれからである。生産や消費の落ち込みは、どこも予想以上に厳しい。これから世界経済は、大きな不況に突入することになる。各国は、コロナの脅威がまだ去っていない状況で、経済を立て直さなければならない。

京都大准教授の柴山桂太氏
京都大准教授の柴山桂太氏

 一月に中国武漢で「謎の肺炎」が報じられてから、各国は相次いで国境封鎖を行った。この措置は、まだしばらく続くと見るべきだろう。効果的な治療薬やワクチンが開発され、市場に出回るにはまだ時間がかかる。

 貿易も停滞したままだ。今後、工場やオフィスが活動を再開すれば、グローバルな生産体制も動き始めるが、コロナ以前の姿に戻ることはない。航空便の減便で航空貨物の価格は上がり、検疫体制の強化で商品の輸送にも時間がかかるようになった。原材料や部品の供給が止まるか、コストが上がる状態が、今後も続くものと予想される。

 WTOは、貿易にかかるコストの上昇は、世界全体の関税が3・4%上がったのに等しいと推計している。これは企業の生産活動にとって、明らかに負の効果を持つ。グローバルな供給網に依存している企業は、コロナ前の生産を維持するのに、余分な費用がかかることを意味するからである。

大国アメリカなき秩序とは?

 各国の政策にも変化の兆しが見られる。これから来る不況で有力企業が安く買い叩かれないよう、外国投資に制限を加える国が増えている。特にトランプ政権は、これから対中制裁の勢いをさらに加速させるだろう。