コロナ 知は語る

サントリーHD社長・新浪剛史氏 デフレに備え困窮者を支援

サントリーホールディングスの新浪剛史社長(鴨川一也撮影)
サントリーホールディングスの新浪剛史社長(鴨川一也撮影)

20~30代が心配。デジタル分野の学び直しを

 新型コロナウイルス禍で日本は経済安全保障やデフレへの備えが問われている。政府の経済財政諮問会議の民間議員も務めるサントリーホールディングス(HD)社長の新浪剛史氏は、戦略分野を見定めた上での通商連携する国々との信頼構築や、感染拡大の第2波も見据えた困窮者支援の重要性などを訴える。

 ◆中国切り離し無理

 --コロナ禍で自国第一主義がはびこり、米国は国の分断も起きている

 「日本にとって政治的・経済的には米国が最も強い結びつきなのは変わらないが、米国は大統領選があり、格差や黒人差別の問題もあって混乱はしばらく続く。同時に、日本の軸足はアジアにあり、経済面での中国とのデカップリング(切り離し)は事実上無理だ。全てを日本に回帰させることもできない。そこで、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国への生産移管と国内生産への回帰、そして一部は中国での生産-という形態を取ることが重要だ」

 「国の安全保障上の戦略分野は何かを決め、それらの物品はある程度、国内製造に移す。全て国内というのは大変難しいので、コロナ禍の中、早急に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟国と協議し、いざとなったら融通し合うような信頼構築を急ぐべきだ」