経済インサイド

鉄道「変動制運賃」、実質値上げ懸念

満員電車に乗り込む通勤客
満員電車に乗り込む通勤客

 新型コロナウイルスの影響で鉄道事業者の減収が続く中、時間帯などによって運賃を変える「変動制運賃」が鉄道に導入される機運が高まっている。影響力の大きいJR東日本とJR西日本が検討に着手し、国土交通省も議論を始める方針だ。ただ、通勤客の働き方などが変わらなければ、多くの利用客にとっては実質値上げとなる懸念もあり、丁寧な説明が求められそうだ。

JRは検討着手

 「ダイヤや運賃を見直すためのチェックを進めている」

 論議の口火を切ったのは、国内最大の鉄道会社であるJR東のトップ、深沢祐二社長だ。7月7日の定例社長会見で、JR東の鉄道営業収入は4~6月期に前年同期比で6割超も減少したことを踏まえ、運賃見直しの方向性として変動制を検討することを明言。値上げや値下げには具体的に言及しなかったが、「以前のように利用客は戻らない」と悲観的な見通しを示した上で、「持続的な経営のためだ」と説明した。