
米国と中国のハイテク覇権争いが激しさを増している。グーグルやアマゾンなど米巨大IT企業と、アリババ、華為技術(ファーウェイ)といった急成長の中国IT大手が、データをめぐる市場支配力を競う構図だ。安全保障も絡んで米中が激突する中、日本のIT企業の存在感は薄いが、意外な「第三極」の芽が見えてきた。トヨタ自動車の“秘蔵っ子”だ。
かつての27人から9人にスリム化され、社外分を除くと6席しかないトヨタの取締役ポストに6月、自動車ビジネスの経験のない異色の経歴の外国人が就任した。先進技術開発を統括するジェームス・カフナー氏(49)だ。
カフナー氏は、米スタンフォード大でコンピュータ科学ロボティクス研究所博士号を取得。カーネギー・メロン大准教授などを経てグーグルに入社し、自動運転やロボットの技術開発を主導した人物。2016年にトヨタに招かれ、人工知能(AI)研究などを手がけてわずか約4年での最高経営メンバーへの抜擢(ばってき)だ。