ビジネス解読

ハイテクの次はグリーン覇権争い 欧州先行、中国も技術育成に照準

 米中が覇権を激しく争うハイテク分野に続き、主要国による巨額投資が世界経済に大きな波を起こそうとしている分野がある。脱炭素社会への変革を、コロナ禍で落ち込んだ経済の再建につなげる「グリーンリカバリー(緑の復興)」と呼ばれる動きだ。11月の米大統領選の行方によっては200兆円超が新たに環境対策に流れ込む可能性があり、脱炭素を意識した企業戦略が活発化している。(経済本部 池田昇)

欧州航空機大手エアバスが概要を発表した二酸化炭素排出をゼロにする旅客機「ZEROe」のイメージ(エアバス提供・共同)
欧州航空機大手エアバスが概要を発表した二酸化炭素排出をゼロにする旅客機「ZEROe」のイメージ(エアバス提供・共同)

EUは政策の柱に

 「商業航空機部門にとって、歴史的な瞬間だ」

 9月21日、欧州航空機大手エアバスのフォーリ最高経営責任者(CEO)はこう述べ、水素を燃料とし二酸化炭素(CO2)を排出しない世界初のゼロエミッション航空機を2035年までに商用化する計画を明らかにした。同月には、鉄鋼世界最大手の欧州アルセロール・ミタルも、石炭の代わりに水素を使って鉄を還元する新技術などで50年までに全世界でCO2排出を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと発表。独フォルクワーゲンは、24年までに計150億ユーロ(約1兆8千億円)を投じて中国の電気自動車(EV)事業を拡充する方針を示し、世界最大のEV市場で攻勢をかける。

 欧州を代表する各社が、機を同じくして脱炭素への新たな取り組みに動き出したのは偶然ではない。背景には、欧州連合(EU)がグリーンリカバリーを経済政策の柱に位置づけたことがある。