日本発ロシア点描

カプコンへのサイバー攻撃 ロシアや旧ソ連圏浮かぶ仕掛け

サイバー犯罪の人材募集のためとみられるコンクールの開催告知サイト。ロシア語で執筆されている(NTTデータ提供)
サイバー犯罪の人材募集のためとみられるコンクールの開催告知サイト。ロシア語で執筆されている(NTTデータ提供)

 ゲームソフト大手「カプコン」がサイバー攻撃を受け内部情報が流出した問題で、ロシアや旧ソ連圏の犯罪グループが関与した可能性が浮上している。発見されたウイルスにモスクワ市内の企業のデジタル署名が付与されていたほか、ロシアなど旧ソ連圏の言語で設定されたパソコンがウイルスに感染しないよう細工されていたためだ。12月上旬には米政府機関にロシアとの関係が疑われるサイバー攻撃が仕掛けられていた問題も明るみに出たが、専門家は「ソ連崩壊後の経済低迷がサイバー犯罪技術の向上をもたらした」と指摘する。(黒川信雄)

盗まれた「企業」

 「あなたは一体誰ですか? ここは木材の販売会社ですよ。どこからそんな情報を得たのですか?」

 電話に出た女性は訳が分からないといった様子でそう答え、電話を切った。電話の先はモスクワ郊外のさびれた地域にオフィスを構える企業。この企業こそ、カプコンへの攻撃に使用されたウイルスの実行ファイルに残されていたデジタル署名の主だった。