ビジネス解読

「産業絶滅政策にはするな」 温室ガス2050年ゼロの舞台裏

 政権獲得後最初の所信表明演説で2050年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする政府方針を表明した菅義偉(すが・よしひで)首相。演説の前日の昨年10月25日昼、首相は都内のホテルのレストランで、経済産業省に影響力を持つ自民党の甘利明税調会長(元経産相)と向かい合っていた。

「中国の60年ゼロ、バカな話」

 「経産省には『産業政策として、50年ゼロを宣言しろ』と言ったんですよ」。甘利氏の言葉を聞いた首相は合点がいったような表情で「あ、それでか…」とつぶやいた。本来なら「企業の成長意欲をそぐ」として猛反発してもおかしくない経産省が、50年ゼロの所信表明への盛り込みに抵抗しなかったからだ。

 ただ、経産省が最初から50年ゼロに前向きだったというわけではない。首相と甘利氏の会談前、経産省幹部は甘利氏に、技術的な困難さを挙げ、50年ゼロへの後ろ向きな説明を繰り返した。