日本発ロシア点描

プーチン氏、対外債務拒否 ソ連崩壊後の経済破綻トラウマ

 ロシアのプーチン大統領が署名して成立した2021~23年の連邦予算。各年とも赤字幅は1~2%と限定的で、手堅い印象を与えるが、緊縮財政で対外債務に頼れないロシア特有の事情も垣間見える。新型コロナウイルスの感染収束後も経済の低成長が予想され、社会の閉塞感が強まる可能性がある。(黒川信雄)

緊縮財政移行に舵

 日本貿易振興機構(ジェトロ)のまとめによれば、ロシアの財政収支は、18~19年は主力輸出商品の石油などの資源価格の持ち直しや税収増を受け2年連続で黒字となった。しかし20年は新型コロナによる国際的な景気の落ち込みを受け資源価格が下落し、経済対策のための支出増もあり国内総生産(GDP)比で4・4%の赤字となったもようだ。今回成立した3カ年予算でも、21年に同2・4%、22、23年はそれぞれ1%台の赤字が続く。