知論考論

日本は新型コロナワクチン開発で取り残された

医療従事者への新型コロナウイルスワクチンの先行接種が全国で始まっている=2月、大阪市中央区の大阪医療センター(鳥越瑞絵撮影)
医療従事者への新型コロナウイルスワクチンの先行接種が全国で始まっている=2月、大阪市中央区の大阪医療センター(鳥越瑞絵撮影)

 新型コロナウイルスワクチンの高齢者への接種が4月から始まる。新型コロナ対策の焦点として注目が集まる中、諸外国に比べ、接種が遅れたことの理由の一つに、海外製薬企業への依存が指摘されている。では、なぜ国産ワクチンの開発は遅れてしまったのか。「周回遅れ」とも揶揄(やゆ)される中、国産を開発する意義は何か。供給体制を整備するために今後、どういった施策が必要なのかをコンサルティング会社「ボストン・コンサルティング・グループ」の武田俊彦シニア・アドバイザーと大阪大大学院の大竹文雄教授に聞いた。(聞き手 安田奈緒美)

国防の観点から捉えよ 武田俊彦氏

 世界各国は国防意識を持って、感染症対策を行ってきた。米国ではバイオテロ防衛の意味もあり、ワクチン開発などの研究開発費を企業に支援し続けてきた。日本もワクチン開発を、国防の観点から捉えなければならない。