田村秀男の日曜経済講座

膨張する中国の外貨負債 習政権の粗暴な拡張主義の源泉に

 新型コロナウイルス・パンデミック(世界的大流行)の中、日米欧の余剰資金が中国になだれ込んでいる。習近平政権にとって経済を拡大できるばかりではない。巨大経済圏構想「一帯一路」や「ワクチン外交」に代表される対外攻勢を加速させる資金源にも活用できる。

 拙論が以前から指摘しているように、中国は事実上のドル本位制で、中央銀行である中国人民銀行は公定レートでドルを買い上げ、外貨準備を積み上げ、これに応じて人民元を発行する。外準の供給源は貿易収支など経常収支の黒字と対外負債の増加だ。外貨は中国経済の成長と軍拡を可能にするばかりか、世界各国を取り込む資金源になる。今や対外負債こそが習政権を増長させる原動力なのだ。