ビジネス解読

米半導体復権に戸惑う〝米中二股〟戦略の韓国サムスン 「オーナー不在」も痛手に

「オーナー不在」で停滞感が漂うサムスン電子=ソウル市(AP)
「オーナー不在」で停滞感が漂うサムスン電子=ソウル市(AP)

 米国がデジタル社会を支える中核部品・半導体の復権に動く中、〝米中二股〟戦略の韓国サムスン電子が戸惑いを隠せないでいる。同盟国などを巻き込んだ米国の半導体強化は世界的な生産不足への対処と同時に、ハイテク覇権で対立する中国を封じ込めるのも狙いとみられるからだ。今月中旬の「先制攻撃」ともとれる米政府と産業界の協議の後、市場牽引(けんいん)役の台湾半導体企業は中国企業との取引停止で素早く米国への恭順姿勢を見せた。米中に半導体工場を持つサムスンは「オーナー不在」のためか態度が不明瞭で、停滞感が漂う。

 半導体はスマートフォンや兵器など幅広い分野に使われ、国家の安全保障にも影響する重要な電子部品。「21世紀の石油」「戦略武器」とも呼ばれる。12日の産業界との協議でバイデン米大統領が「再び世界を主導する」と強調したのはこのためだ。具体的には、500億ドル(約5兆5000億円)の生産支援投資を通じて技術革新を促す。同盟国との連携強化や米国内の生産拡大にも取り組む。

 米国が半導体の生産力強化を急ぐのは、世界的な半導体不足が深刻となったことが理由だが、中国の台頭を懸念している面も大きい。かつて世界首位だった米国の生産シェアは現在、台湾、韓国、日本の後塵(こうじん)を拝している。米半導体市場調査会社によれば、米国のシェアは最近では12%(5位)まで低下。トップの台湾(21%)とは10ポイントほど差が開き、中国(13%、4位)よりも順位は下回る。