日曜経済講座

米労働法制に転機 「アマゾン勝利」で改正機運、日系に影響も ワシントン支局 塩原永久

米アマゾン・コムの労組結成の支持者=3月22日、ロサンゼルス(ロイター)
米アマゾン・コムの労組結成の支持者=3月22日、ロサンゼルス(ロイター)

 米国の労働法制が転機を迎えている。米ネット通販大手アマゾン・コムで従業員らが起こした労働組合の設立運動が、アマゾン側の圧力で失敗に終わり、政界で「労働者の立場を強める制度改正が必要だ」という論調が高まってきたのだ。労働者層を重視するバイデン米政権や与党・民主党が、組合を立ち上げやすくする新法制定に乗り出しており、実現すれば米国に進出する日系企業にも影響を及ぼす可能性が出てきた。

 「私はここで、法案の共同提案者になることを表明したい。法案は(労使の)立場を公平にするものになる」

 連邦議会のマンチン上院議員(民主党)は4月19日の討論会でそう明かした。法案とは「団結権保護法(通称PRO法)」案で、組合立ち上げのハードルを引き下げる内容だ。労組の新規設立を後押しする公算が大きいと指摘されている。

 マンチン氏を突き動かしたのは、南部アラバマ州のアマゾン物流拠点で9日、労組設立の是非を問う従業員向けの投票が、反対多数で否決されたことだとみられている。

 アマゾンやグーグルなど米IT大手は技術者を手厚く処遇して人材を集めており、処遇改善を求める労組設立の動きは極めて異例だった。そのため、約5900人を抱えるアマゾンの物流拠点で起きた労組立ち上げ運動は注目を集めた。

 こうした中、バイデン大統領は2月、「すべての労働者が組合に参加する自由で公正な選択肢を持つ」と言及。与野党の議員も現地入りするなど、政界を巻き込んだ問題に発展した。