
「ジョブ型」と呼ばれる欧米流の人事・雇用制度が、新型コロナウイルス禍に見舞われた日本で脚光を浴び始めた。あらかじめ仕事の内容や目標などを明示し、評価や報酬に反映する仕組みだ。コロナによる業績悪化だけでなく、不合理な待遇差をなくす「同一労働同一賃金」が義務付けられた結果、勤続年数に応じて給与が高くなる日本独自の「メンバーシップ型」の人事・雇用制度を保ちにくくなったことが背景にある。外国人や専門性の高いスペシャリストを獲得したい大企業はジョブ型の導入に前のめりだが、日本の文化や風土、慣行とは全く異なる欧米で生まれた制度だ。安易に飛びつくと、失業者が急増するリスクをはらんでいる。