沖縄・尖閣諸島の地元漁業者の聞き取り調査で歴史資料の拡充を行ってきた「尖閣諸島文献資料編纂会」(新納義馬会長)がこの10年間で4冊目となる調査報告書「尖閣研究」を発刊した。編纂会は尖閣開拓史に光を当て、明治中期からの魚釣島の定住開拓がわずか約15年で頓挫した経緯を再検証、新資料を発掘した。尖閣諸島の学術調査は24年前を最後に中断しており、島の生活跡や遺構は崩壊・消失の危機にある。編纂会は国による調査の再開や現地の遺構保全を改めて訴えている。(編集委員 久保田るり子)
消えた魚釣島「古賀村」のナゾ
絶海の孤島、尖閣諸島は古来、琉球航路の標識島だった。近代に入っても島は無人で無主だったが、地元漁師らが海鳥や海産物を求めて渡島し、明治8年ごろから日本政府が初期調査を始めている。