李登輝秘録

第1部 虚々実々の両岸関係(8)台湾併呑の毒薬「92年合意などない」

1993年4月27日、シンガポールでの中台窓口機関の初のトップ会談で、席に着く中国側の汪道涵・海峡両岸関係協会会長(左端)と台湾側の辜振甫・海峡交流基金会理事長(右端)(ロイター)
1993年4月27日、シンガポールでの中台窓口機関の初のトップ会談で、席に着く中国側の汪道涵・海峡両岸関係協会会長(左端)と台湾側の辜振甫・海峡交流基金会理事長(右端)(ロイター)

 「台湾を併呑(へいどん)するための毒薬だ」。台湾で対中政策を管轄する大陸委員会は今年1月16日、踏み込んだ表現で、中国に反発した。毒薬とは、中国と台湾の窓口機関が1992年10月、香港で行った実務者レベルの協議で、中国本土と台湾を不可分とする「一つの中国」原則を確認したとされる「92年合意」を指す。

 中国側は、台湾総統の蔡英文(さい・えいぶん)(1956年生まれ)に「92年合意」の受け入れを踏み絵のように迫るが、蔡政権は合意の存在を否定している。中国国務院(内閣)は、蔡政権を「分裂主義だ」と批判している。

 「92年合意」はあったのか、なかったのか。当時、現役の総統だった李登輝は、「そもそも『92年合意』なんてないんだ」と語気を強めて否定する。

 香港での中台協議は、2001年に出版された「李登輝執政告白実録」(印刻出版)に詳細が描かれている。双方が政府代表ではない、民間の形を取る窓口機関どうしの協議だった。

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