李登輝秘録

第3部 政治弾圧時代の苦悩(5)農業指導一筋で中央省庁入り

1954年ごろ、台湾各地の農村で調査や農業指導を行っていた李登輝=台湾南部の雲林(李登輝基金会提供)
1954年ごろ、台湾各地の農村で調査や農業指導を行っていた李登輝=台湾南部の雲林(李登輝基金会提供)

 1945年の終戦で蒋介石(しょう・かいせき)が率いた中国国民党政権による支配が始まった台湾。政治弾圧のみならず、経済混乱も悪化の一途をたどっていた。日本軍の撤退後に再発した毛沢東(もう・たくとう)率いる中国共産党との「国共内戦」が続く中国大陸で、食料やあらゆる生活用品の価格が急騰。あおりを受けて台湾でも激しいインフレが市民生活を直撃していた。

 その一方、元総統の李登輝は、国民党政権が40年代後半から進めた農地改革については、「当時の台湾経済を混乱から救った主役だった」と評価する。李は49年に卒業した台湾大農学部で教職に就いていたが、授業でも農業指導先でも、農地改革を熱く語っていたという。

 台湾現代史に詳しい早稲田大教授、若林正丈(まさひろ)の著書「蒋経国と李登輝」(岩波書店)によると、当時の農地改革は(1)小作料の減免(2)日本から接収した農地の農民への売却(3)地主階級から政府が買い上げた農地の農民への売却-という3段階で進んだ。52年には、台湾の農業生産高は戦前に記録した38年のピークを上回るほどになっていた。

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