久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ

「電撃越境」で最強カードを捨てたトランプ氏 金正恩氏は棚ぼたで大成果

 電撃的に実現した板門店(パンムンジョム)での米朝首脳の対面は、カメラのシャッター音や繰り返される握手、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とトランプ米大統領の「笑顔」に彩られた。だが、そのほかに一体何が残ったのか。米朝は実務者協議開始で一致したというが、わざわざ南北軍事境界線の非武装地帯(DMZ)で決めるほどの内容ではない。「歴史的な板門店対話」は約1年前にシンガポールで行われた初の米朝首脳会談を想起させる空虚なものに終わった。米国側は、北朝鮮を追い詰めた今年2月のハノイ会談での成果を、自ら捨ててしまった。

金正恩氏を驚喜させた板門店対面

 電撃対面を北朝鮮メディアは「歴史的」と評価したうえで、「米朝の最高首脳が、分断の象徴である板門店で握手を交わすという驚くべき現実が起こった」と興奮気味に報じた。

 そのはずである。金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)時代を通じ、北朝鮮が渇望してきたのが、敵国である米国との協議であり首脳会談だった。朝鮮戦争(1950~53年)の休戦以来、60年以上にわたって、いつ実戦に転化してもおかしくない米韓合同軍事演習で緊張を強いられてきたのだ。その和解を象徴するイベントが、いともあっさりと実現した。

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