
戦後、台湾を独裁支配した蒋介石(しょう・かいせき)の長男である蒋経国(けいこく)は、総統に就任した1978年、李登輝(り・とうき)(96)を閣僚級ポストの台北市長に任命した。さらに台湾省主席、副総統に引き上げていく。蒋経国は、中国大陸出身の外省人が中枢を占める国民党政権が台湾で生き延びるためには、李のような台湾出身の本省人エリートを政界で育て上げ、政権の「台湾化」を図るしかないと考えた。第4部は、蒋経国の政治手法を吸収していく李が総統に就任する88年までの姿を追う。
元台湾総統の李登輝が今も大事にしているメモ帳がある。1984年から88年の副総統時代に、総統の蒋経国と個別に会話した156回の内容を書き記したものだ。青色のペンで丁寧に中国語で書かれていて、北西部の桃園市郊外にある別荘の机の引き出しに保管している。
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