李登輝秘録

第4部 蒋経国学校の卒業生(7)「あんな手は使うべきでない」

1970年に米ニューヨークで起きた蒋経国暗殺未遂事件で2人の台湾人逮捕を伝える地元紙(上)と、84年にカリフォルニアで射殺された江南が書いた伝記「蒋経国伝」 (前衛出版社提供)
1970年に米ニューヨークで起きた蒋経国暗殺未遂事件で2人の台湾人逮捕を伝える地元紙(上)と、84年にカリフォルニアで射殺された江南が書いた伝記「蒋経国伝」 (前衛出版社提供)

 1970年代から80年代にかけ、米国は台湾の民主化に関心を深めていく。その背後には、蒋経国(しょう・けいこく)がからんだ米国での2件の暗殺事件もあった。

 最初の事件は70年4月24日、ニューヨーク中心部のプラザホテルで起きた。

 国民党政権からの台湾独立を留学先の米国で訴えてきた台湾人の黄文雄(こう・ぶんゆう)(1937年生まれ)が、訪米した蒋をホテルの正面で、隠し持った拳銃で狙撃した。弾はそれて蒋にけがはなく、黄と台湾人の共犯者1人が逮捕された。暗殺未遂事件を聞いた李登輝は、「肝を冷やした」という。

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