湯浅博の世界読解

もう引き返せない!?米中冷戦

 東京・平河町の国家基本問題研究所で、企画委員の一人が「この妙な公開書簡を読みました?」と英文コピーを見せてくれた。米大統領と議員各位に宛てた公開書簡は、7月4日付の米紙ワシントン・ポストに「中国は敵ではない」とのタイトルで掲載された。

 どこかに違和感や既視感を持ちながら読んでみた。米国の言論空間にある「中国に厳しく対処せよ」との空気からすると、中国にあまりに寛容な媚中(びちゅう)派の文書であると見た。

 ◆「中国は敵ではない」のか

 いまや中国は、不公正な貿易、知的財産の窃盗、技術の強制移転によって米国を追い上げ、増強した軍事力で周辺国を威嚇する。国際法を無視し、国内の民主勢力を抑圧する全体主義国家である。